最近よくお問い合わせをいただくのが、「擁壁がひび割れているけど大丈夫……?」という不安な声。また、「擁壁に穴が空いているけれども、何のため?」というご質問もいただきます。
ヤギさんレンタル事業でもおなじみの株式会社トーラスですが、実は本業は、ヤギさんのお世話ではなく、石積み・石垣補強工事。
(もちろんヤギさんのお世話もプロフェッショナルです!)
プロとして、擁壁のひび割れ・崩壊を防ぐ水抜き穴の重要性と役割について、解説します。
■擁壁にある穴はなに?
擁壁をよく見ると、小さな穴が空いていることに気づきます。
これってもしかしたら施工ミス? 塞ぐのを忘れているのは問題なんじゃないの?
……とご心配に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これは「水抜き穴」といわれるもので、擁壁には必ず設けられています。
「宅地造成等規制法施行令」という擁壁に関する技術仕様がありますが、第10条により「壁面の面積3㎡以内ごとに少なくとも1個の、内径が7.5センチメートル以上の水抜き穴」の設置が義務付けられているのです。
ちなみにこの法律を守らなければならないのは、「高さ1m以上の盛土」の場合。その他の区域では、建築基準法にのっとって「盛土、切土に関係なく壁高2m以上」となります。これらの高さよりも低い擁壁に関しては、構造計算も不要で法律を守る義務も課せられていないので、水抜き穴が設置されていないこともあります。
■水抜き穴の役割とは?
では、法律で課せられている「水抜き穴」には、どんな役割があるのでしょう。
それは、擁壁で支えている敷地内の水を抜いて崩壊を防ぐという重要なものです。
擁壁にとってだけでなく、地盤にとって水はけは非常に重要です。水分量が多いと土地は軟弱化してしまい、危険な状態に。特に最近は台風だけでなく、線状降雨帯やゲリラ豪雨など、短時間に一気に雨が降るような現象が頻発しているので、鉄砲水等の危険性が高まります。
そのために排水パイプを擁壁の裏側まで差し込んで、敷地にしみ込んだ水が排水されるようにするのです。
これをしないと、地盤の軟弱化を招くだけでなく、擁壁内部の水圧が高まってひび割れが生じたり、最悪、倒壊ということも。ひいては家屋が倒壊したり、人命にかかわるようなリスクも招きかねません。
■水抜き穴が無い!!あっても非常に少ない擁壁もある!
前出のように、建築基準法や宅地造成等規制法施行令に違反していなくても、水抜き穴がない擁壁やあっても少しだけで効果が期待できないものや、水抜き配管はあるが裏込めコンクリートに突き刺さっているだけで形だけのものも見かけます。
特に注意しておきたいのは、古い擁壁です。
本来ならば水抜き穴を入れなければいけないのに、細いパイプしか通されていなかったり、そもそも水抜き穴がない状態で使われている古い擁壁もたくさんあります。
こうした古い擁壁では擁壁全体が土圧の影響で前傾したり、亀裂が見られることがありますが、亀裂箇所から水分が浸透して、擁壁の劣化を早めてしまうリスクがあります。
また擁壁に苔やカビが生えていたり、雨が降ったあとも湿っていたり、亀裂が見られるようなら、その擁壁は排水がスムーズに行われていない可能性があります。
となると、徐々に擁壁内の水圧が高まって、何かのきっかけで崩落……という事態も起こりかねません。
亀裂があったり、水抜き穴がなかったり、コケや湿りが見られるような擁壁があれば、専門業者にSOSを送るのが安心です。
擁壁自体の補強は必要無いと判断した場合は、排水設備を適切に設ける工事も御請け致します。
(コンクリートに刺さっている) (コアドリルで削孔) (裏込め材まで貫通) (深度確認)
(配管挿入) (配管内部に土砂流出防止材挿入) (完了)
■モルダム工法は排水機能を確保して石積内部から固める特許工法。
・モルダム工法では1㎡当たり1箇所専用の水抜き加工シートを設置します。
特徴
土砂等の粒子を流さず水を速やかに排除する構造です。
水抜きパイプと比較して次の様な特徴があります。
1)狭い隙間に設置できる。
2)吸出し防止機能が高い。
3)柔軟性に富んでいる。
4)加工が容易である。
5)充填剤が内部に浸透しない。
(水抜き加工シート) (石積の狭い隙間に設置可能)
(ウレタンで吸い口を塞がない処置) (注入前設置完了)
(水抜き加工シートを1㎡/1箇所設置)
この様に水抜き配管と比べて目立たないので、石積の趣を残しつつ、排水機能を確保した状態で石積内部から補強する事が出来ます。
【意外と知らない】石積み擁壁のトラブルサインとは?
https://j-torus.co.jp/blog/news/174723
・モルダム工法やPDR工法なら石積みを積み直すことなく補強できます
擁壁のプロフェッショナルであるトーラスでは、「モルダム工法」や「PDR工法」による補強を得意としています。
「モルダム工法」は、石積み内部に高性能の石積み専用充填剤を注入して、補修・補強する工法のことで、土圧の低減を図る意味から、専用の水抜き加工シートを1㎡あたり1カ所設置。遮蔽層を形成しながら水抜き加工シートを併用することで、排水機能を確保しながら内部から補強もできるという、優れた工法です。
美観を保ちながら補強工事ができ、大きな重機も必要としないので狭小地や前面道路の狭い土地でも対応できます。
【モルダム工法とは】工法独自の強みとは? トーラスで施工にあたる熟達の技術者の生の声や、お客様のご感想もご紹介!
https://j-torus.co.jp/blog/news/170310
「PDR(恒久排水補強パイプ)工法」は石垣や法面などに鋼製のストレーナー付のパイプを設計箇所に打ち込むというものです。
排水効果として
1)常時の地下水排除効果
2)豪雨時の浸透水の早期排除効果
3)地震時の過剰間隙水圧消散効果
地盤の締め固め効果として
1)地盤の締め固めによる強度増加
2)地盤を拘束することによる変形抑制効果(疑似擁壁化)
擁壁の内部水圧の上昇を軽減し、倒壊リスクをおさえることが可能です。
(削孔) (裏込め材まで貫通確認) (PDR先端)
(PDR鋼管打ち込み) (ブレーカ使用) (打ち込み後深度確認)
(受圧板取付)
恒久排水補強パイプとは?PDR工法で地盤を強化して事故を防ぎましょう!
https://j-torus.co.jp/blog/news/174725
■擁壁のひび割れや水抜き穴のトラブルを防ぐ!安心安全な擁壁は調査から改良工事まで、トーラスにお任せください
擁壁や地盤の安全性を守るためには、水抜き穴を良好な状態に保つことが大切です。そのためには定期的なチェックや調査、メンテナンスが必須です。
また擁壁は常日頃から見慣れているため、トラブルのサインが出ていることに気づきにくいものです。
しかし地盤の軟弱化や地震の影響など、目に見えないダメージが積もり積もって、知らず知らずのうちに強度が劣化し、ひび割れが生じることがあります。
さらにコンクリートの劣化など、耐用年数の問題も考えられることでしょう。
また水抜き穴の存在も重要です。水抜き穴がなかったり、基準よりも少なく設けられていたり、水抜き穴から土が流れ出ているような擁壁は、専門家に連絡するなど早めに手をうっておくに越したことはありません。コケが生えていたり湿っていたりする擁壁も、何らかの問題が進行している可能性があります。
いずれにせよ、擁壁のひび割れや水抜き穴まわりの異変は、地盤や擁壁のトラブルのサイン。ご心配な方は、熟達した技術者ぞろいの擁壁のプロフェッショナル、トーラスまでお問い合わせください。
ヤギさんレンタルでもなじみ深い株式会社トーラスの本事業は、石積み・石垣や斜面の補強工事です。
とりわけ特許工法である「モルダム工法」により、従来の石積み補強(石垣補強)工事のデメリットであった、「接着力の弱さ」「内部浸水による水圧上昇の倒壊に対応できない」など、これらの弱点を補った高品質な補強工事を提供しています。
百聞は一見に如かず。
ぜひ一度、弊社の補強工事実績をご覧ください。
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余談ですが、副事業として「ヤギさんレンタル」も実施中!
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