こんにちは、株式会社トーラスです。
当社HPには、皆様のご自宅や職場などに古くからある石垣・石積みに関するご質問が多く寄せられてきます。
そこで今回は、当社が提供する「モルダム工法」について、少し掘り下げてご説明させていただこうと思います。
まず、なぜ「モルダム工法」を推奨しているのか?という事を少しお話します。
私の自宅にはご先祖様が積み上げた石垣があります。
ふと最近、「石垣の内部空洞が広がってきている様な気が・・・」という懸念を持ちました。
工業用内視鏡で中を見ると、裏込めの土が無い状態!!
100年以上前に積まれた石垣は、長年の雨水の浸透で裏込めに使用した土や石が流れ出し中はスカスカ状態。
しかし、今までよくもっててくれたと感謝しつつ・・・
「大雨や地震でも来たら石垣が崩壊するのでは?!」と、不安が込み上げてきました。
まず建築会社に相談してみたところ・・・
石垣の前面にコンクリート擁壁を新たに設ける提案で、費用は軽く家が建つ値段に・・・!
他の良い方法が無いかと調べ尽くし、結果としてたどり着いたのが、九州防災メンテナンス㈱さんが開発した「モルダム工法」という技術でした。
石垣の趣を残しつつ補強できるモルダム工法はよく考えられていて、自分と同じように悩んでいる方は沢山いらっしゃるはず。
自社でも取り組んで減災の一助になれば、と思い立ちました。
これが、トーラスが「モルダム工法」に取り組んだ始まりです。
それからおかげさまで、公共工事をはじめ社寺仏閣や民間からご依頼がございました。
2024年2月執筆時点において、130件を超える様々な石積み(擁壁)補強工事に至り、お客様に大変お喜びいただいております。
今では、石垣の趣を残して補強できる「モルダム工法」は、唯一無二だと自負しています。
■「モルダム工法」(石垣・石積み接着補強工事)の紹介と、危険な石垣の見分け方などについて、解説
※画像出典元:国土交通省「宅地擁壁の健全度判定・予防保全対策マニュアル 」
▼ 危険な石垣四つのチェックポイント ~見分け方を知っておこう~
国土交通省は、擁壁の補修工事の必要性を見極める基準として、下記のものを発表しています。
〔擁壁は20年経過した頃から急激に老化が進む。
そして築50年以上の擁壁は、そのうち4割が補修工事が必要。〕
上記の築年数の基準をベースに、目の前の擁壁は果たして補修工事が必要な段階なのかどうか?
実際の擁壁の状態から危険性をも見極めるポイントを四つ、解説いたします。
① 空石積み擁壁(くういしづみ ようへき)
雑石(ざっせき)や玉石(たまいし)、間知石(けんちいし)などといった、コンクリートで固められていない石積み。
石を組み合わせて積み上げていく、昔ながらの石積み手法です。
石の積み方によっては強度もしっかりとしたものもございますが・・・
宅地の擁壁をこの積み方で完成させてしまっては、危険な擁壁と判断されてしまいます。
一方で、一見コンクリートで舗装された「練積み」という石積みに見えている場合であっても、目地部分をモルタルで詰ただけの簡易版も多くあるため、注意です。
この空石積擁壁、劣化や地震などといった外的なことが原因で、積石の「せり出し」や「孕(はら)み」、「亀裂」などの、石積みの変形が発生するリスクも。
結果的に擁壁全体が不安定になり、崩壊してしまう可能性がございます。
② 増し積み擁壁
石積みやコンクリート擁壁などの上にブロック塀などで土留め壁として積み上げた擁壁のこと。
上段に追加された擁壁や土砂が下段に組まれている擁壁を重さで圧迫してしまったり、接合部分における強度不足だったり、これらによって崩壊する危険性がございます。
③ 2段擁壁
上部の擁壁と下部の擁壁、これらを近くに設置した擁壁のことです。
上部の擁壁が下部の擁壁に対して、特に影響がない位置に設置できれば問題ございません。
しかしながら、これが影響する位置(土の質により、影響がある位置関係もまた変わります)に設置した場合・・・
下部擁壁の押し出しだったり、上部の擁壁の沈下だったり。
このような変形が見られた後、擁壁崩壊してしまうリスクがございます。
④ 張出し床版付き擁壁の上に、土地の有効面積を広げるために設置された、張出し床版(スラブ)のある擁壁
床版(しょうばん)の重さが下部擁壁を圧迫してしまうことに加え。
古い擁壁の場合は床版そのものが劣化することで、爆裂(鉄筋の腐食が原因で、表面コンクリートが剥がれ落ちる)してしまうものも多く・・・
劣化が進行している擁壁の場合は、床版(しょうばん)の落下リスクがあるものもございます。
■トーラスの石垣補強(石積み補強)工事 四つの強み
▼ 特許工法「モルダム工法」 とは?
石積みは、さかのぼれば古墳時代から見られたそうです。
しかし、農村や田舎で見られるような石積みは、1950年頃を境に農村部の人口衰退とコンクリート技術の台頭により徐々に石積み職人も減り廃れていきます。
しかしながら、建設業界の技術のアップデートが時代とともに進むにつれて、石積みもまた進化してきました。
その最先端が、石垣(石積み)補強「モルダム工法」です。
▼ 特許工法「モルダム工法」 その四つの強み
【強み①】従来のセメントモルタルのデメリット解消!
「モルダム工法」とは、排水機能を確保した状態で、既存の石垣内部に従来のセメントモルタルよりも高い強度・付着力を発揮する石積み専用接着剤を注入する事によって補強する工法になります。
この接着剤の名称が「モルダムエース・モルダムGハイパー」であることから、「モルダム工法」と呼ばれています。
北九州市にある九州防災メンテナンス株式会社の杉山信二代表の、「毎年の様に台風災害等に見舞われる北九州市で石垣・石積みの崩落災害を何とか減らしたい」といった想い。
これが「モルダム工法」の原点です。
代表が何年もの間試行錯誤した末、ようやく開発された特許工法です。
※九州防災メンテナンス㈱開発(特許工法:特許第5686446号)
NETIS登録番号(QS-220012-A)
加えて、狭い石垣の隙間でも排水機能を付与できる、専用の水抜き加工シートを1㎡/1箇所設置。
そしてプライマー(※)を散布した後に、石積み専用接着剤を注入します。
※「プライマー」:最初に塗る塗料=下塗り用塗料のこと。
接着剤と石積みの密着性強化などの性能に特化。
この手法と併用することで、排水機能を確保しながら内部からの石垣補強が可能となり
石垣・石積みを積み直す必要もないので、美観を保ちながら補強工事ができるのが「モルダム工法」の大きな特徴の一つです。
【強み②】狭い敷地内の石垣にも、モルダム工法なら対応可能
「モルダム工法」の強みは排水機能の確保だけではありません。
石垣と隣家等との間が狭い場合でも重機や大型機械を使わないので、施工場所が下記画像のような、人ひとりが作業するのがやっとの狭所であっても施工可能です。
【強み③】石垣・石積み工事の“品質基準” ~施工後の石垣の強度と美しさを両立~
石垣・石積み補強工事を提供している会社のなかには充填材の品質基準を明らかにしていないところもありますが・・・
当社の扱う「モルダム工法」では、圧縮強度24N/㎟以上の規格値(※)に設定・品質管理された製品を使用しています。
※圧縮強度:そのコンクリートがどれだけの力(重さ)に耐えられるかを示したもの
標準、養生の後1週(7日)と4週(28日)の圧縮強度試験を3本1セット行います。
試験機によってテストピースを加圧し、3本の平均値が所定強度に達しているかを調べます。
公共工事の場合は必ず、石積み専用接着剤の品質確認をするために1週目と4週目で圧縮強度試験を実施。
規格を超える強度がある事を実証して数字上でも明確な施工品質を提示できるよう、努めています。
当社では、石垣・石積みの趣や独自の景観美は損なわず、強靭に補強して蘇らせることにこだわりを持っています。
常にお客様目線で、『トーラスに依頼して良かった!』と言っていただけるよう、取り組みを進めています。
【強み④】施工品質にバラつきなし!工事完了時には全てのお客様に工事写真帳を作成し提出
いくら材料が優れていても、いい加減な施工をしては台無しです。
特に石垣・石積みは、不安定な状態での施工また施工不良による崩落など人命を左右するシビアな作業。
熟練の作業員一人一人が細心の注意を払いながら、丁寧に思いを込めて一件ずつ施工させて頂いています。
当社では、全てのお客様に工事完了後、施工中にしか見えない部分や施工前から施工後にかけて各種工程ごとにまとめた写真帳を作成し、お客様にご安心いただけるよう心がけています。
特許工法の詳しい解説ページはこちらへ
■【こんな石垣・石積みは危険!!】崩壊(ほうかい)のリスクがある石垣の見分け方
城郭などの石垣は熟練した職人が手がけてきましたが、棚田や段々畑では農民が今ほど機械もない時代に一つずつ積み上げ、途方もない労力をされた事をひしひしと感じます。
石垣や石積みは、いわば日本の美しい風景をつくる大切な要素。
しかしそんな日本人の心に刻まれてきた石垣が、老朽化や昨今の異常気象の影響等で、崩壊の脅威となってしまうのは悲しいかぎりです。
まずは、崩壊のリスクがある石垣の見分け方について、紹介します。
▼ 結果には原因がある。
我々が現地調査に伺った際には、単に工事をするだけの現地調査ではなく、なぜこうなったかを考え、お客様には例え当社にご用命頂け無くとも、石垣・石積みの変異(ハラミ・亀裂等)の原因はこうした事が考えられ、『こうした方が良いですよ』とアドバイスをさせて頂いています。
例えば、石垣上の排水機能が不十分であったり、擁壁の水抜き処置がされていなかったりする場合が多く見受けられます。
▼ 亀裂や剥がれ落ちた石積み! 特にその内部に注意!!
石垣の擁壁でまずチェックしたいのが、目地部の亀裂やモルタルの剥がれ落ち。
さらに、内部に注意しましょう。
下記写真のように、亀裂や目地部から木根が見えている擁壁や石のせり出し、陥没がある石積は良好とは言い難い状態です。
▼ 「!??」石垣、盛り上がってない!?
石が部分的に押し出されたように飛び出ているものも、危険な状態です。
特に膨らんでいるように見えるのなら、早急な対処が必要。
この状態を「孕む(はらむ)」あるいは「孕み(はらみ)」と呼びます。
非常に危険な状態であると認識しましょう。
▼ 【こんな石垣、強くて安心!?】テラ勾配(弓なりに反る勾配)の積み方
いちばん強い積み方だと言われているのが、写真のようなテラ勾配の積み方です。
「テラ勾配」とは、弓なりに反った形状のこと。
「テラ」≒「お寺」の屋根に形が似ていることから、このように呼ばれています。
テラ勾配の有名な例が、加藤清正が築城した熊本城の石垣です。
下記の熊本城の写真をご覧ください。
しっかり、弓なり(テラ勾配)に仕上がっているのが、おわかりかと思います。
しかし、油断は禁物!
石垣に取り囲まれた熊本城は、2016年の熊本地震により各所で被害を受けました。
テラ勾配になっていても下のあたりは『孕(はら)み』や石ズレ等をおこしている。
このような現場を、いくつも見てきました。
■さらにトーラスではモルダム工法に追加でPDR工法(Pipe Drain Reinforcement)を組み合わせることや表面波(ひょうめんは)探査(たんさ)による擁壁診断のご紹介が可能
▼ PDR工法とは 兵庫県の太田ジオリサーチ社が開発した排水補強パイプを打ち込む工法です
ろ過加工された外径 60.5mm の硬質鋼管(こうしつこうかん)のパイプを、擁壁斜面に一定の間隔で打設。
その結果、斜面の表層崩壊の発生原因となる表流水や浅層地下水を速やかに擁壁の外へ排出し、土塊(つちくれ)の間隙水圧(かんげきすいあつ)上昇を抑制するための工法です。
さらに、この硬質鋼管のパイプは「せん断強度」と「曲げ強度」といった二種類の大きな強度があります。
パイプの打ち込みによって、それ自体が地盤の押し固める効果を持ちます。
このため、地盤全体の剛性(外部からの曲げやねじれなどの力が加わった際の変形に対する耐性)を高め、地盤の強度が上がったり、変形拘束効果だったりによって、擁壁崩壊の抑止に繋がります。
また、地震時に発生するリスクがある過剰間隙水圧(土の粒子内に入り込んでくる水圧が過剰に上昇すること)により、液状化した部分から擁壁崩壊を起こすことがあります。
この排水補強パイプは「地下水排除」と「過剰間隙水圧消散」作用を生じさせ、地盤内の液状化を防ぐ役割がございます。
簡単に申しますと
石垣や石積みが内部水圧上昇で崩壊するリスクをさらに低減できます。
また、地面に対し地盤把持力(じばんはじりょく)を高め、擁壁の転倒防止効果に威力を発揮します。
▼ 「PDR工法」四つある強み ~そのうち二つをご紹介~
下記、「PDR工法」が持つ四つある強み、全容です。
今回は、中でも特にお客様へのメリットが大きい「短い工期」と「高耐食(こうたいしょく)メッキによる長寿命」といったPDR工法の強みを二つご紹介いたします。
【強み①】施工はシンプル!打撃打ち込みのみ! 工期の短縮でお客様の負担を軽減
「PDR工法」の施工は、対象の石垣や斜面、地盤などに鋼製のパイプを打ち込むというもの。
技術は求められますが、作業そのものはシンプル!
ゆえに工期が短く、各種経費を抑えることが可能です。
【強み②】80年~100年の長寿命!「高耐食メッキ」
昨今は上下水道管の劣化が話題になっていますが、水道行政が厚生労働省から国土交通省に移管されることになったのも、こうした劣化が原因の一つ。
生活を支えるインフラである水道管が劣化するのなら、「PDR工法」のパイプってどうなの・・・?と思われるかもしれません。
しかし心配はご無用。
「PDR工法」の鋼製パイプは、高耐食性メッキによる防錆(ぼうせい)加工が施されており、80年〜100年の長寿命を誇ります。
長持ちするだけあって、メンテナンス工事の回数も減り、ランニングコストを大きく削減できるのもメリットの一つです。
■表面波探査による擁壁の客観的危険度評価手法
石積み擁壁は、自然の外的な力や老朽化などが原因で、崩壊することも時にはございます。
従来、石積み擁壁は主に目視点検によって、擁壁の安定性が評価されてきました。
しかしながら、目視できない擁壁内部の劣化、地山(じやま)の緩みなどといったことが確認できな点が大きな課題でした。
この課題に対応し、擁壁内部の強度を検査する方法として、2013年国土技術政策総合研究所によって、擁壁の「表面波探査法」が誕生しました。
※「表面波探査法」の詳細は、下図参照
▼ 「宅地技術部門」の研究成果
この「表面波探査法」は、これまで数値化できなかった擁壁内部とその背後にある地盤の剛性(Vs)を測定・数値化する新技術!
例えば、結果が危険度「大」となる空石積み擁壁の場合、モルダム工法によって改善する見込みがございます。
石積み補修工事の発注者様にとっては、このようなモルダム工法の補強度合いを定期的に把握することは、投資価値を確認だったり、リスク管理だったりの面で、非常に大切なことです。
モルダム工法施工前
モルダム工法施工後
ヤギさんレンタルでもなじみ深い株式会社トーラス。
その本事業として提供している石垣・石積み接着補強工事。
特許工法である「モルダム工法」により、従来の石垣補強(石積み補強)工事のデメリットであった、「接着力の弱さ」「内部浸水による水圧上昇の崩壊に対応できない」など、これらの弱点を補った高品質な補強工事を法人・個人様向けに提供しています。
百聞は一見に如かず。
ぜひ一度、弊社の補強工事実績をご覧ください。
余談ですが、副事業として「ヤギさんレンタル」も実施中!
ヤギさんのレンタルとなると、アニマルセラピーくらいしか思い浮かばない!など
このように、気になる方はこちらへ
(実際、アニマルセラピーの効果もあり、癒される方も多くいらっしゃいます)
弊社茂崎代表と子ヤギ