石垣の積み方6種類を解説|野面積・打込接・切込接の違いと現代への継承

大津市坂本地内の空積み擁壁(穴太衆発祥の地)施工前


こんにちは。

「石垣・石積み・各種擁壁の補修、補強」「やぎさんレンタル」「電気通信工事業」を展開している株式会社トーラスです。


石垣には、先人たちの驚くべき知恵と技術が詰まっています。この記事では、戦国時代の石工集団「穴太衆(あのうしゅう)」に始まる石垣づくりの精神について、わかりやすく解説します。穴太衆の歴史や基本的な考え方、基本となる6種類の積み方、そして歴史の面影を壊さずに現代へ安全技術を受け継ぐモルダム工法についてもご紹介します。




■石垣の原点は戦国時代の石工集団の「穴太衆」


石垣の原点とされる「穴太衆」とその歴史について、それぞれ解説します。



・穴太衆とは


穴太衆とは、大小さまざまな自然石をほとんど加工せずにパズルのように組み合わせて積み上げる技法を用いることで知られる石工集団です。主に近江国(現在の滋賀県大津市坂本付近)で活躍していたとされています。


それぞれの石が最も安定する配置を感覚的に見つけ出す「石の声を聞く」という口伝に従い、コンクリートなどを一切使わず、石と石を噛み合わせて石を積み上げていくのが穴太衆の大きな特徴です。隙間に「間詰石(まづめいし)」を詰めることで、地震の揺れをいなす高い排水性と耐震性を実現しています。



・穴太衆の歴史


穴太衆のルーツは、古墳時代の渡来人にさかのぼるともいわれています。古くから比叡山延暦寺の僧侶たちの住居である里坊や寺院の石垣や護岸工事を担ってきたとされています。1571年の比叡山焼き討ちでも崩れなかった堅固な技術が織田信長の目に留まり、安土城の築城に登用されたことで全国に名が広がりました。


その後、豊臣秀吉の伏見城や大阪城、徳川の江戸城など、多くの名城の石垣を手掛けたといわれています。




■石垣の基本構造を決める「3つの加工法」


大津市坂本地内の空積み擁壁(穴太衆発祥の地)施工中



石垣の代表的な3つの加工方法である「野面積(のづらづみ)」「打込接(うちこみはぎ)」「切込接(きりこみはぎ)」について、それぞれ解説します。



・野面積(のづらづみ)


穴太衆が得意とした自然石による石積み技法で、自然石をほとんど加工せずにそのまま使い、排水性と地震の揺れに強いのが大きな特徴です。石の形や向きを合わせながら積み上げていき、石と石の隙間には間詰石という小さな石を詰めます。



・打込接(うちこみはぎ)


石の接する部分や表面を叩いて加工する方法で、野面積みよりも石同士の隙間が少ないのが特徴です。関ヶ原の戦い以降に技術が発達すると、穴太衆も打込接の技を取り入れて、より高く美しい石垣を積むようになりました。



・切込接(きりこみはぎ)


石を念入りに削り、隙間ができないように平らに加工して積む方法で、石同士がぴったりと合わさるのが大きな特徴です。より整然とした美しさや高さを追求するなかで発展した、江戸時代以降の高度な技術です。


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■ 美しさと規則性を生み出す「2つの並べ方」と「基本6種類」


乱積(らんづみ)と布積(ぬのづみ)は、お城の石垣や護岸などの石積みにおける石垣の積み方の分類です。石の並べ方や見た目が大きく異なるため、それぞれについてわかりやすく解説します。


・乱積(らんづみ)


石の大きさを揃えずに、不規則に積んで横の継ぎ目(目地)を通さないのが「乱積」の特徴です。全体のバランスを取りながら積み上げるのが難しいため、高い技術が必要です。


乱積みの石積擁壁



・布積(ぬのづみ)


高さの同じ石を使用して、横のラインを水平に通すのが「布積」の特徴です。 きれいに並ぶため見た目がすっきりし、初心者でも積みやすい一方で、崩れやすさの面で強度に注意が必要です。


布積みの石積擁壁



・石垣の基本6種類


石垣の基本6種類について、それぞれ特徴を解説します。


【野面乱積(のづららんづみ)】

加工していない自然石を不規則に積み上げる最も原始的な技法で、穴太衆が最も得意とした強固な積み方です。


【野面布積(のづらぬのづみ)】

自然石を用いて、ある程度高さを揃えて横のラインを通すように積み上げる技法です。


【打込接乱積(うちこみはぎらんづみ)】

石の表面や接合面を叩いて平らに加工し、大きさが違うものを組み合わせてランダムに配置する技法です。


【打込接布積(うちこみはぎぬのづみ)】

石の表面や接合面を叩いて平らに加工し、大きさや高さをある程度揃えた石を横のラインを通すように積み上げる技法で、美しく整然とした印象を与えます。


【切込接乱積(きりこみはぎらんづみ)】

表面や端をきれいに加工した大きさや形が不規則な石を、横の目地が通らないように組んでいく積み方です。すべての石を緻密に削って合わせる必要があるため、高い技術と手間が求められます。


【切込接布積(きりこみはぎぬのづみ)】

きれいに四角く加工した石を、レンガやブロックを積んだかのように隙間なく合わせて美しい格子状に仕上げる、最高峰の技術です。




■ 現代に立ちふさがる「伝統美の保存」と「安全対策」のジレンマ


穴太衆の技術のような日本の伝統文化を維持しようとすると、安全対策などの面でどうしてもデメリットが生じてしまいます。ここでは、石垣を維持するデメリットについて解説します。



・災害リスクの増大


内部に雨水がたまって水圧が上がると、内部の土砂が流出し、大雨や地震で突然崩落する危険があります。地球温暖化に伴うゲリラ豪雨や巨大地震の発生時は、甚大な被害を引き起こすリスクが高まります。



・美観と文化財保護の制約


美観や安全性と文化性の両立が難しく、補強のためにと安易にコンクリートで表面を固めてしまっては、先人が遺した歴史的遺構の景観や価値を損ねてしまう恐れがあります。



・工期と費用の負担が大きい


石垣をすべて解体して積み直す「組み直し工事」は、完璧な保存ができる一方で、膨大な費用と数年単位の工期が必要になります。


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■ 伝統文化を壊さず未来へつなぐ、トーラスの「モルダム工法」


大津市坂本地内の空積み擁壁(穴太衆発祥の地)施工中



伝統文化を壊すことなく石垣の強度や排水機能を再生・補強する「モルダム工法」について、わかりやすく解説します。



・解体せずに補強する技術


石の隙間から専用の特殊接着充填剤である「モルダム」を内部に注入して内側から一体化させることで、既存の石垣を解体することなく強度を飛躍的に高めることが可能です。




・美観を100%残す仕上がり

大津市坂本地内の空積み擁壁(穴太衆発祥の地)


表面の接着剤や削孔した跡が目立たないよう、熟練の技術者が精巧な補修処置を施すため、歴史を重ねた石積みの佇まいをそのまま次世代へ残せます。



・排水機能の維持


専用の排水材料を組み合わせることで、穴太衆による石垣の最大の強みである「水抜き」を塞ぐことなく排水性を維持でき、土圧の上昇を防ぐ科学的な安全設計を実現します。



・低コスト・短工期を実現


既存の石垣をすべてナンバリングして一度取り外す「解体組み直し工事」は、莫大な費用と年単位の時間がかかります。一方で、モルダム工法は外側から特殊接着充填剤を注入するため、費用を大幅に抑えられ、短期間の工期で安全性を高められます。



・周辺環境や近隣住民への負荷を軽減


大型重機での大がかりな掘削や石の移動が必要ないため、工事中の騒音や振動、粉塵を最小限に抑えられます。狭い路地や、観光客・住民が行き交う生活道路に面した石垣でも、安全性を確保しながらスムーズに施工できます。



古い石垣の安全性に不安がある場合はもちろん、各種擁壁の補修・補強についてお考えの方は、ぜひ一度、株式会社トーラスへお気軽にご相談ください。お見積り作成までの費用は無料ですので、安心してお問い合わせください。


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